外壁の吹き付けは減少傾向?メリットとデメリットをご紹介

最終更新 : 2024.01.29

塗装にはさまざまな施工方法があります。外壁塗装も同様で、これまで多くの施工方法が作られてきました。吹き付けもそのひとつで、施工数としては減少していますが条件によって選択される方法です。

外壁の吹き付けは減少傾向?メリットとデメリットをご紹介

そもそも吹き付け塗装とはどのようなものなのでしょうか。なぜ減少したのか、外壁の部分からも見ていきましょう。職人の技術力との関連もありますので、外壁塗装の塗り替えとも関係してきます。

刷毛塗りとローラーとは違う吹き付け塗装

塗装には一般的なものとして刷毛塗りとローラー、吹き付けに分かれます。手作業の刷毛トローラー。機械を使って塗装する吹き付けがあります。それぞれにメリット・デメリットがありますが、外壁塗装という観点からも見ていきましょう。

吹き付けは機械を使った塗装方法

そもそも吹き付け塗装とはなにでしょうか。

吹き付け塗装とは、噴霧器を使った塗装方法です。スプレーガン塗装とも呼ばれます。乾燥した空気を送り込み、容器に入った塗料を塗装面に吹き付ける方法です。塗料だけを圧縮して飛ばすエアレス方式もあります。

もともと外壁塗装は刷毛塗りでしていましたが、吹き付け塗装をすることで一気に効率的になりました。機械ですので、作業スピードが手作業より圧倒的に速かったからです。

プラモデルなどの塗装で、エアブラシを見たことはありませんか?絵画でも使うことがありますよね。車など工業製品の塗装にも使われているので、どこかで見たことがあるでしょう。構造的には規模が違うだけで同じです。

外壁の吹き付けは減少傾向?メリットとデメリットをご紹介

外壁塗装では、一般的な住宅では基本としてローラー塗装が使われています。小さな部分は刷毛でカバーするのが基本です。ここには速いだけではない理由があるからです。

吹き付け塗装のメリット

吹き付け塗装のメリットは、なによりも機械で施工することです。ここにすべての秘密が隠されています。

空気で塗料の粒子を飛ばす吹き付け塗装は、薄い塗膜を均一に施すことに向いています。粒子を空気で飛ばしていく方法のため、液体を吹き付けるという感覚ではないからです。

作業速度は機械の性能にもよりますが、圧倒的速度で塗装できます。特に手慣れた職人が施工すると、驚くほど速いのです。

もうひとつの特徴として、飛ばせる重量のものなら、骨材を混ぜた塗料が使える点が挙げられます。一緒に吹き付けて付着させるため、均一に飛ばせるのです。骨材が入ると、立体感が出てオリジナリティのある外壁塗装もできるのです。模様を描くことまでできます。ノズルが向けば狭いところも塗装できますし、複雑な形状も塗膜を均一にしやすくなる方法です。

吹き付け塗装のデメリット

吹き付け塗装には、明確なデメリットがあります。

機械を使っている以上、必ず音が出ます。それも圧縮空気を作る過程で、同じリズムの音が鳴り続けるのです。静穏性の高いものもありますが、ゼロにはできません。振動を感じることも出てきます。

飛散の問題も吹き付け塗装の大きなデメリットです。粒子にして吹き付けるため、関係ないところに飛びやすくなります。完全に付着せずに落ちる塗料も増えるため、どうしてもロスが出るのです。このようなロスの割合をロス率と呼びます。吹き付け塗装のロス率は、塗料全体の20%~50%にもなるので小さなものではありません。塗料代金の増大にもつながります。

外壁の吹き付けは減少傾向?メリットとデメリットをご紹介

厚塗りにも向きません。圧力を使って塗料を飛ばして吹き付けるため、塗膜面が厚くなるとゆがむ可能性が出てきます。

ノズルを使いますが、どうしても距離を離さないといけません。さらにホースなどを引っ張っていかないと施工できないのも問題です。さらに施工面に斜めに吹き付けると仕上がりがきれいになりませんので、立ち位置も関係してきます。経験が影響することになるでしょう。

そして最も大きなポイントは、高い技量が必要なところです。吹き付け塗装は機械で施工するため、簡単なように見えます。ところが、膜厚を一定にするのはとても難しい方法です。機械の操作も慣れが必要ですし、メンテナンスも簡単ではありません。模様をつけようと思えば、手作業で作らなければいけません。失敗も許されない作業となるため、高い技量が必要なのです。

吹き付け塗装とデザインの種類

吹き付け塗装では、特徴的な塗装方法がいくつかあります。特にこの4つの塗装方法は、吹き付け塗装の特徴といってもいいでしょう。

リシン

塗料のなかに骨材である砂などを入れて吹き付ける方法です。吹き付け塗装の代表格ともいえる方法で、モルタル外壁に多く使われてきました。塗膜はかなり薄く仕上がるため、通気性に優れた塗装方法で、学校の外壁などにもよく使われることからもALCにも使われています。施工価格も安く、とにかく施工が早いのも特徴です。

見た目は落ち着いていますが、凸凹ができる分だけ汚れもたまりやすく、黒ずんで見えることも少なくありません。耐久性も高くないため、10年程度で塗り直しなどメンテナンスに入ると思っていいでしょう。ボロボロと骨材が落ちてくるのもデメリットです。

スタッコ

セメントや砂などの骨材を混ぜて吹き付ける方法です。凸凹した仕上がりになりますが、リシンより細かくなるため、重厚感が増します。デザイン性の高い塗装で、膜厚もある程度できることから耐用年数も長くなる方法です。

リシンと同様に凸凹ができるため、汚れがつきやすく、長期間放置すると落ちにくくなります。職人の技量に左右される部分が多いことからも、仕上がりの難しい方法です。再塗装する場合にも、凹凸が増えることから、塗料の使用量が増えます。その増加量は一般的な塗装の3倍ともいわれるほどになるため、メンテナンス費用は高いと思っていいでしょう。

スキン

セラミック塗装とも呼ばれるのがスキンです。大理石などの細かな骨材を吹き付ける方法で、塗装面が非常に強固に仕上がります。塗料は骨材をつなぐ接着剤の役割となることから、そこまで性能が重視されないため、アクリル系やシリコン系の塗料が使われる方法です。使う骨材で仕上がりの雰囲気が変わります。

骨材が主体となることから通気性は高く、凸凹があることで劣化がわかりにくい特徴がありますが、やはり汚れがたまりやすい問題を抱えます。骨材は撥水性が高いわけではなく、塗膜が薄れると浸透しやすくなるのもデメリットです。骨材を付着させることからも、モルタル外壁やコンクリート外壁などにしか使われません。劣化するとボロボロと汚く落ちてくるのもスキンの特徴です。メンテナンスの費用もかかります。

吹付タイル

タイルという名前がついていますが、塗装工事のひとつです。玉吹きとも呼ばれています。複層仕上げとも呼ばれており、何回かに分けて吹き付けられます。

ほかの方法と比べて骨材は使っておらず、ランダムな大きな凸凹を作りますがざらついていません。あとからローラーでつぶす方法もあります。陶器のような仕上がりになることからタイルと呼ばれていますが、印象はとても柔らかくデザインのバリエーションも豊富です。複層になることからひび割れに強く、同じような塗装を手作業でおこなうより安価になります。

最大の問題は意匠性の高さです。美しいデザインを作れますが、これも職人の技量にかかっています。つまり、だれでも同じような高いレベルには作れません。これまでの技量が重要になるため、人件費がかかります。ほかの方法と同様に汚れもたまりやすいため、定期的なメンテナンスが欠かせません。

外壁塗装と吹き付け塗装の関係

外壁塗装と吹き付け塗装には、大きな関係があります。なぜ吹き付け塗装が減ってきたのかをお伝えします。

減ってきた吹き付け塗装の理由

モルタル外壁とは、壁にラスなどを貼り付け、モルタルを塗り付けて仕上げる方法です。左官などで仕上げる方法で、味わい深い外壁ができあがります。

職人が作る以上、品質にはばらつきがあり一定とはいえません。平滑面も技量に影響されることから、難しい仕上がりになります。費用的にも安くありません。手で仕上げることからも、どうしても凸凹ができるため、塗装も考えなければならなかったのです。

ひびも入りやすいモルタル外壁では、刷毛塗りでは塗膜も安定せず、なかなかカバーできません。そこで、骨材を含んだ塗料を吹き付け、強度を増すとともに、劣化したときに目立たないようにしたのです。防水性の低いモルタル外壁もカバーできるため、とても重宝しました。

多少の凸凹があっても、骨材を含んだ吹き付け塗装ならわかりません。外壁の仕上がりにとっても都合のいい方法だったのです。

モルタル外壁の減少

モルタル外壁は、職人の技量に左右されやすいほか、どうしても現場施工という問題を抱えます。現場で施工する以上、どうしても品質が均一にならないのです。さらに天候にも左右されますし、工程も長く伸びます。

工場で生産されるサイディングは、品質も一定に加工しやすく、現場の工程に左右されません。表面も平滑でとても扱いやすかったのです。職人の技量にも左右されにくいことから、現在のように多くのシェアを獲得していきます。

モルタル外壁の衰退から、吹き付け塗装も必要性が下がりました。気泡などの目をつぶしながら、一定の膜厚を確保しやすいローラーのほうが効果的だったからです。ロスも大きく、職人の技量に左右される吹き付け塗装は必要性は下がりました。

規模の大きな外壁塗装では吹き付けも使われますが、一般住宅ではほとんど見かけなくなったのです。

飛散と臭いの問題

吹き付け塗装ではロスの問題がありますが、これはどこに飛んでいくでしょうか。養生材につくなら簡単に除去できます。足場でもある程度は許容できるでしょう。

もしかしたら、周囲のお宅に飛ぶかもしれません。さらに遠くに飛散する可能性もあります。粒子になった塗料は風に乗りやすく、関係ない場所に付着することも出てくるからです。そうなると、大きなリスクを抱えるため、厳重な養生が必要です。塗装自体に手間は少なくても、ほかのことに手がかかるのです。

外壁の吹き付けは減少傾向?メリットとデメリットをご紹介

飛散しやすいほど粒子が軽くなれば、臭いも拡散しやすくなります。水性塗料を使うようになり、かなり軽減されたのは事実です。それでも、臭いはゼロになるわけではありません。このようなリスクも、吹き付け塗装には隠れています。

騒音問題

コンプレッサーを必要とする吹き付け塗装は、必ず機械の音が出ます。音が出ても問題なければいいでしょう。しかし、周囲のお宅は寝耳に水です。自分達の外壁塗装がきれいになるわけでもないのに、ずっと音が聞こえます。それもリズムが決まった音が、日中鳴り響くのですからいい気持ちはしません。

外壁の吹き付けは減少傾向?メリットとデメリットをご紹介

小さなお子さんがいれば、音を嫌がり泣き始めるかもしれません。ペットも同様です。短期間で済むのなら問題も少ないかもしれませんが、事前に根回ししておかないと、あとで大きな問題になるかもしれないのです。

吹き付け塗装の外壁メンテナンス

外壁塗装を吹き付けで施工している場合、どうしても凹凸を作ることが基本です。凹凸を作る以上、汚れが溜まりやすくなります。汚れがたまったままにすると、外壁塗装が劣化する要因を作り出すため、定期的にメンテナンスしなければいけません。まずはご家庭でもできるメンテナンスをご紹介しましょう。

ホースで洗い流す

外壁塗装のメンテナンスとして重要なことは、劣化させる要因の汚れを落とすことです。汚れを落とす方法もいろいろとありますが、水で洗い流すのが簡単でしょう。ホースを使って水を流すだけでも、ある程度の汚れは落ちます。細かなところまでは届かないかもしれませんが、だれでも簡単にできる方法です。

スポンジの使用

直接こすり汚れを落とす方法があります。ホースで水を散水しながら、スポンジを使って直接落とせば細かな汚れもきれいにできるのがメリットです。

スポンジはできるだけ柔らかなものを使い、外壁塗装を傷つけないようにしましょう。軽くこするだけでも汚れの大半は落ちるからです。

ブラシを使う方法もありますが、吹き付け塗装の凹凸に引っかかりやすい点に注意しなければいけません。

専用洗剤の使用

頑固な汚れの場合には、外壁塗装用の洗剤を使うのもいいでしょう。専用の洗剤であれば外壁塗装に反応しにくく、劣化を促進させずに汚れを落とせます。ホームセンターなどでも手に入るようになったので、メンテナンス方法として覚えておくと便利です。

高圧洗浄機は注意

吹き付け塗装の場合、塗膜はあまり厚くありません、これは塗装の種類によっても違いますが、さほど丈夫なものではないと思わなければいけないでしょう。

高圧洗浄機は、機械の力で汚れを落とす便利な方法です。圧力をかけた水やお湯を吹き付けて洗い流すため、効率的な方法であるのは間違いありません。ですが、汚れ以外のものも削り落とす可能性があり、塗膜の薄い外壁塗装は簡単に負けてしまのです。

家庭用の高圧洗浄機は、さほど高圧にはなりませんが、それでも吹き付け塗装の場合かなり注意しなければいけません。あとから再塗装するなどメンテナンスの手間が増えるため、できれば避けたほうがいいでしょう。

吹き付け塗装の外壁と再塗装

着付け塗装の外壁は、さまざまな再塗装方法が考えられます。劣化が進むと外壁塗装としての役割を果たせなくなるため、再塗装はとても重要な方法です。

ローラーでの塗装

再塗装の方法として現在最も有効なのはローラーでの施工になるでしょう。もともとの塗装の種類によっても違いますが、ローラーで仕上げることで手早く再塗装もできます

外壁の吹き付けは減少傾向?メリットとデメリットをご紹介

ただし、これまでと風合いが変わるため、同じようにしたい場合には別の方法を選択しなければいけません。

再度吹き付け塗装

再塗装の方法として、再び吹き付け塗装をする方法があります。もともと凹凸に対しても強い効果を発揮する吹き付け塗装ですので、相性は抜群です。ただし、同じデメリットを抱え続けることも考慮しなければいけません。厚ぼったくなることもデメリットです。

吹き付け塗装がおすすめのケース

現在では、外壁塗装の大半はローラーで施工します。必要性が下がったためですが、条件によっては吹き付け塗装が効率的な場合があります。その例を見ていきましょう。

施工費用の問題

施工費用で見ると、吹き付け塗装はローラーでの施工より安上がりになる可能性があります。工事費の大半は人件費です。人数が多くなり時間がかかれば費用は高騰します。

吹き付け塗装の場合、機械が働いてくれる部分が多いため、人件費を減らす効果が期待できるのです。安く仕上がるため、施工費用の問題を考慮するならば吹き付け塗装がいいでしょう。ただし、塗料代はロスの分だけ高くなります。

吹き付け塗装の場合、1人工あたりの費用は高くなります。高い技量を持った職人が必要であり、だれでも施工できるわけではないからです。

問題は、今回の施工だけで見れば安く上がるかもしれません。ですが、塗膜は薄くなりやすいことからも、再塗装のタイミングが早く来ます。長期的スパンで多くの費用を必要とするケースが増えるため、注意しなければいけません。

立体感を求める

外壁塗装として立体感を求める場合には、骨材を使える吹き付け塗装が向いています。吹き付け塗装で骨材を使えば、陰影が現れやすく立体感が出てくるからです。重厚感のある塗装にしたいときにも吹き付け塗装がいいでしょう。

これまで指摘してきましたが、凹凸ができれば汚れがたまりやすくなります。立体感が作れても、メンテナンスの費用がかかることは考慮してください。

デザイン性を重視したい

スプレーガンを使う吹き付け塗装の場合、ストリートアートのような絵も描けます。オリジナルのデザイン性を考慮したいなら、吹き付け塗装がいいでしょう。

もちろん、施工する職人の技量によって大きな差が生まれるため、満足できる仕上がりになるとは限りません。デザインの再現性をどこまで許容できるのか、職人の技量も含め検討する必要が出てきます。

ALCパネルのケース

吹き付け塗装は基本的にモルタル塗装に用いられますが、ALCパネルでもよく使われる施工方法です。ALCパネルを使った建築物は外壁面積の大きくなりやすいため、施工速度が早い吹き付け塗装のほうが相性もいいからです。

まとめ

現在ではあまり使われなくなった吹き付け塗装ですが、メリットもあればデメリットもあります。それでも、複合的に仕上げに吹き付け塗装を選ぶケースも少なくはありません。

ポイントは仕上がりに職人の技量が影響する点です。本当に吹き付け塗装を選ぶべきなのか、細かく検討しなければいけないでしょう。

シンニッケンでは、これまで多くの経験と実績があります施工例も多数ありますので、どのような仕上がりにしたいのかをお話しいただければ、吹き付け塗装も含めて適切なプランをご提案いたします

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