外壁の種類ごとの特徴は?見分ける方法と必要になる費用の違い
最終更新 : 2025.06.25

住宅の外壁は見た目の印象を左右するといっても過言ではなく、風雨や紫外線から建物を守る重要な役割も担っています。
そのため、外壁材を選ぶ際には見た目の好みだけでなく、耐久性やメンテナンスのしやすさも含めて慎重に考えなければなりません。
本記事では、外壁の主な種類とそれぞれの特徴、費用の違い、選び方のポイントなども含めて詳しく解説します。

Contents
外壁の種類とメンテナンス方法

はじめに、代表的な7種類の外壁材の特徴と、それぞれのメンテナンス方法をご紹介します。
窯業系サイディング
窯業系サイディングは主原料であるセメントに繊維質を加えた外壁材です。
デザインのバリエーションが豊富でコストパフォーマンスにも優れていることから、日本の戸建住宅で特に普及している外壁材のひとつです。
表面に汚れが付着しやすく、紫外線の影響を受けることも多いため、こまめなメンテナンスが欠かせません。
【メンテナンス方法】
- 定期的な高圧洗浄で汚れの付着防止
- 色褪せやヒビ割れ、チョーキングが見られたら再塗装
- 目地が劣化してきたらシーリング(コーキング)の打ち替え
金属系サイディング
金属系サイディングはガルバリウム鋼板やアルミ、ステンレスなどを原材料とし、裏面には断熱材を組み合わせた外壁材です。
軽量で耐震性が高く、スタイリッシュな外観に仕上がることもあり近年人気が高まっています。
防錆加工を施した製品が多いですが、金属素材のためわずかなサビでも腐食が進むことが多いため、こまめな点検と早めの補修が求められます。
【メンテナンス方法】
- 塗膜の剥がれ、チョーキングが見られたら再塗装
- わずかなサビを発見したら早めに補修
- 接合部の点検・補修
樹脂系サイディング
樹脂系サイディングは塩化ビニル樹脂を主原料とした外壁材です。
樹脂素材のため腐食のリスクがなく、耐久性と耐水性に優れています。
その一方で、防音性や耐火性は高くないというデメリットも。
特に北米では広く普及していますが、日本での採用例はまだ多くありません。
樹脂系サイディングは大掛かりなメンテナンスが不要ですが、割れや変形などがないかこまめなチェックが欠かせません。
【メンテナンス方法】
- 定期的な水洗いで汚れの付着防止
- 割れ・変形が見られたら補修
木質系サイディング
木質系サイディングとはその名の通り、天然木を使用した外壁材です。
独特の風合いと温もりが感じられ、和モダン住宅や別荘などに人気があります。
見た目や質感が高い一方で耐久性が大きな課題となるため、防腐処理を施して使用されるケースが一般的です。
また、紫外線による影響で劣化しやすいため、こまめな再塗装が必要になるなどメンテナンスの手間がかかります。
【メンテナンス方法】
- 保護塗料の定期的な塗布
- 色褪せや腐食がないかこまめに点検
- 防腐剤・防虫剤の塗布
モルタル
モルタルとはセメントと砂、水を混ぜ合わせたものです。
外壁材に使用する際には熟練の左官職人によって仕上げられるため、あえて凹凸を出し立体的な意匠を施すなど自由な表現が可能です。
昔ながらの住宅や塗り壁スタイルに使われることが多いですが、窯業系サイディングや金属系サイディングなどに比べると吸水性が高くメンテナンスの難易度は高めです。
【メンテナンス方法】
- 仕上げ法によっては定期的な再塗装が必要
- ヒビ割れ(クラック)が見られたら早めに補修
ALC
ALCは軽量気泡コンクリートともよばれ、内部に気泡を含む軽量のコンクリート素材です。
断熱性や耐火性に優れている一方で、防水性が低いため施工にあたっては塗装が前提となります。
また、軽量とはいえあくまでコンクリート素材であり、重量があるため構造的な配慮も必要です。
メンテナンスを怠ると室内に水が浸潤してくるおそれもあるため、こまめな点検が欠かせません。
【メンテナンス方法】
- 塗料の定期的な塗布
- ヒビ割れや浮きがないかこまめに点検
タイル
タイルは耐久性・耐候性に優れており、高級感のある外観も魅力の外壁材です。
メンテナンスフリーに近い素材といわれることも多いですが、目地部分は劣化しやすいため定期的な点検や補修は欠かせません。
【メンテナンス方法】
- 目地(コーキング)部分のこまめな点検
- コーキングのヒビ割れ・剥がれ・浮きがあれば補修
関連記事:あなたのお家は大丈夫?サイディング外壁の再塗装とメンテナンス
外壁の種類を見分ける方法

専門的な知識がない方にとっては、自宅の外壁にどのような素材が使用されているのか判断が難しいという方も多いのではないでしょうか。
そこで、外壁材を見分ける際のポイントや方法をご紹介します。
外壁の見た目や手触りを確認する
もっとも基本的なのは、外壁に直接触れて質感やパターン、表面仕上げなどから素材を推測する方法です。
外壁材 | 見た目の特徴 | 手触りの特徴 |
窯業系サイディング | 凹凸のある外壁材が多いレンガ調・石調などデザインが豊富 | ザラザラ・凸凹している |
金属系サイディング | フラットでシャープな印象光を反射するような光沢がある外壁材も | ツルツル・サラサラしている |
樹脂系サイディング | やや光沢があり色あせしにくい継ぎ目が少なく滑らかな表面 | 軽く、しっとりとした手触り |
木質系サイディング | 天然木の風合いがあり、木目が見える経年による色あせ | 自然なザラつき乾いた木材の感触 |
モルタル | 細かな粒子感がある仕上げ法によっても質感は多様 | 硬くザラザラ |
ALC | 表面に小さな気泡のような模様 | 硬く重厚感のある手触りややザラつく |
タイル | ツヤのあるものからマットなものまで多様高級感がある | 硬くツルツルマットでザラつきのある素材も |
磁石や音で素材を見分ける
デザインの多様化に伴い、見た目だけで外壁材を見極めることは難しいケースも少なくありません。
そこで、磁石や音で見分ける方法もあります。
たとえば、金属製サイディングのひとつであるガルバリウム鋼板には鉄が含まれているため、磁石がつくかどうかで判断できます。
また、軽く叩いた際にコンコンと鈍い音がしたら窯業系サイディングやモルタル、ALCなどの可能性があり、カンカンと響く音がしたら金属系サイディングの可能性が高いといえるでしょう。
図面や業者に確認する
見た目や質感、音などは外壁材を見分ける際の参考程度になりますが、専門知識のない一般の方にとってはそれだけで正確な判断をするのは困難です。
確実性を求めるのであれば、建築時の設計図や仕様書を確認してみましょう。
これらの書類には外壁仕上材として使用されている外壁材の種類や品番、メーカー名などが記載されている場合があります。
図面が手元にない場合には施工した工務店や建設会社に問い合わせるか、リフォーム会社や塗装業者に現地調査を依頼すれば、プロの目で正確に判断してもらえます。

外壁の種類別にかかる費用の違い

外壁材によっても施工にかかる初期費用やメンテナンス費用は異なるため、特にこれから新築やリフォームを検討している方にとっては頭を悩ませるポイントです。
そこで、外壁材の種類に応じた費用の目安やメンテナンスの頻度を一覧にまとめました。
外壁の種類 | 初期費用の目安 | メンテナンス(再塗装)頻度の目安 | メンテナンス(再塗装)費用の目安 |
窯業系サイディング | 3,000円/㎡〜 | 7~10年ごとに塗装 | 2,000円/㎡〜 |
金属系サイディング | 5,000円/㎡~ | 10~15年ごとに塗装 | 5,000円/㎡〜 |
樹脂系サイディング | 9,000円/㎡~ | 塗装不要(10年ごとに点検) | 9,000円/㎡〜※張替えの場合 |
木質系サイディング | 6,000円/㎡〜 | 5~7年ごとに保護塗料の塗布 | 6,000円/㎡〜 |
モルタル | 5,500円/㎡~ | 10~15年ごとに塗装 | 5,500円/㎡〜 |
ALC | 7,000円/㎡~ | 10~15年ごとに塗装 | 5,500円/㎡〜 |
タイル | 10,000円/㎡~ | 15~20年ごとに目地の補修・割れた部分の補修 | タイル1枚あたり500円〜 |
なお、外壁のメンテナンスには高圧洗浄やコーキングの打ち替え、再塗装の際には足場の設置といった作業も加わります。
これらを含めると、たとえば30坪程度の戸建て住宅の場合、総額で100万円以上のメンテナンス費用がかかるケースも珍しくありません。
関連記事:家の外壁塗装の塗り替えについて|費用相場や期間について解説
外壁の種類を選ぶときのポイント

新築やリフォームの際に外壁を選ぶ際には、住宅そのものの性能や見た目、今後のメンテナンス性などもバランスよく考慮しておくことが大切です。
機能性を確認する
外壁材は建物を守る重要な役割を果たすため、地域の気候や暮らし方に合わせて必要な性能を備えているかを確認しましょう。
カタログのスペック表や建材メーカーの性能表示で比較するのが効果的です。
断熱性
寒冷地や夏の暑さが厳しい地域では、外壁材の断熱性能が空調効率に直結します。
たとえば、ALCや樹脂サイディングは断熱性に優れており、快適な住環境を優先したいという方にはおすすめの素材です。
遮音性
交通量の多い幹線道路や線路沿い、住宅密集地などでは遮音性も妥協できないポイントとなります。
特に小さな子どもがいる家庭では、遮音性が低いと外の騒音によって寝付けずに苦労することも。
静かな住まいを実現したい場合には、モルタルや窯業系サイディングがおすすめです。
耐火性
窯業系サイディングや金属系サイディング、ALC、タイルは耐火性に優れており、火災や延焼のリスクを低減できます。
一方、木質系サイディングや樹脂系サイディングを選ぶ際には耐火機能が施されているかを確認しておきましょう。
見た目から選ぶ
満足度の高い外観に仕上げるために、住宅のデザインや好みに合わせて素材の風合いや色のバリエーションで選ぶことも大切です。
たとえば、どんな町並みにもマッチするナチュラルな雰囲気に仕上げるのであれば窯業系サイディングが、クールな印象に仕上げるには金属系サイディング、高級感や重厚感を演出するにはタイル外壁がおすすめです。
メンテナンス性を考慮
外壁はつねに風雨や紫外線にさらされるため、メンテナンス性の違いを理解しておくことがランニングコストに大きく影響します。
たとえば、窯業系サイディングは導入コストが安価でさまざまな製品の選択肢も多い一方で、定期的な再塗装が必要です。
これに対しタイルは導入コストが高額であるものの、メンテナンスが楽でランニングコストも抑えられる点が魅力といえます。

外壁の種類選びでよくある失敗例

外壁選びにおいては、見た目や価格だけで判断してしまうと後になって後悔や想定外の出費につながることも少なくありません。
ありがちな失敗例を参考に、これらを防ぐための正しい知識を身につけておきましょう。
初期費用だけで判断してしまう
「とにかく安く済ませたい」との一心で、もっとも価格の安い外壁材を選んだ結果、わずか数年後に塗装の剥がれや色褪せ、サビが出てきてしまい再塗装や補修が必要になるケースがあります。
初期費用が多少高かったとしても、メンテナンスの頻度とそれにかかる費用をシミュレーションしたうえで総合的に判断しましょう。
特徴や耐用年数を知らずに選ぶ
今回ご紹介したように、外壁材は素材によって長所と短所があり耐久性も異なります。
たとえば、金属サイディングは軽量で耐震性に優れるものの、サビや腐食が発生しやすいため、特に海沿いの地域で使用すると予定より早く劣化が進んでしまうこともあるでしょう。
それぞれの特徴を十分に理解したうえで目的に合ったものを選ぶことが大切です。
周囲との景観をまったく考慮しない
住宅のデザインは必ずしも個人の好みを反映すれば良いというわけではありません。
たとえば、赤やピンクなど派手な色を選んでしまうと、周囲の家とあまりに印象が異なり浮いて見えることもあるでしょう。
また、地域によっては景観ガイドラインや条例が制定されているところもあり、これを理解しないまま工事を進めてしまうとトラブルに発展することも考えられます。
関連記事:ALCの寿命は50年?外壁塗装が支える重要なポイントとは
外壁の種類でお悩みならシンニッケンにお任せください

外壁材の選定は住宅の見た目だけでなく、機能性やメンテナンス性、ランニングコストにも関わる重要なポイントです。
「自分の家にはどの素材が最適なのかが分からない」「デザインと性能を両立できる選び方がしたい」などのお悩みを抱く方には、外壁塗装のパイオニアであるシンニッケンがしっかりサポートいたします。
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まとめ
外壁材には窯業系サイディングや金属系サイディング、モルタルなどさまざまな種類があり、それぞれ特徴やメンテナンスのタイミングも異なります。
また、外壁材を選ぶ際には、デザイン性だけでなく耐久性やメンテナンスの手間、ランニングコストも考慮することが重要です。
たとえば、塗装が定期的に必要な素材もあれば、タイルのように長期間メンテナンスが少ない素材もあります。
外壁は住宅の見た目や第一印象を左右するだけでなく、建物を守る大切な役割も担っています。
長く安心して暮らすためにも住宅に合った最適な素材を選び、計画的にメンテナンスしていきましょう。
外壁選びに迷ったら、お気軽にシンニッケンへご相談ください。