モルタル外壁のひび割れとは?~起こる原因から補修方法まで~

最終更新 : 2023.07.18

現在の住宅を見ると、外壁には窯業系サイディングが一般化し、数多く採用されるなか、以前はモルタル外壁が多く使われてきました。特に1990年以前はモルタル外壁が基本だったのです。

モルタル外壁のひび割れとは?~起こる原因から補修方法まで~

古くから採用されてきた外壁材ですが、施工には技術力が必要だったことが、現在ではデメリットとして目立つようになりました。仕上がりに差ができやすいからです。

メンテナンスの部分でもサイディングと違いがあります。特にひび割れ補修という重要な影響が出やすいことも、モルタル外壁が抱える大きな問題です。

なぜひび割れが起こり、メンテナンスをしなければいけないのでしょうか。どのような補修方法が必要かを解説しますので、ご自宅の状況も踏まえて今後の予定を考えてみてはいかがでしょうか。

モルタル外壁とトレンド

モルタル外壁は、昭和25年以降、採用されるようになった外壁材です。昭和25年といえば西暦で言うと1950年で、この年に現在の建築基準法の前身が制定されました。

この法令のポイントが防火仕様で、建築時の必要要件となったのです。つまり、防火性を持った外壁を使わなければ、住宅を建てられなくなりました。そこで耐火性がある無機材のモルタル外壁が注目を集め、一躍トレンドになるのです。

一般化したサイディング

現在の住宅外壁のトレンドは、モルタル外壁ではなくサイディングに代わりました。モルタル外壁と比べてなにが違うのかを知るとトレンドになった理由が見えてきます。

窯業系

窯業系サイディングは、現在の一般住宅のほとんどが採用されている建材です。材質としてみれば、セメントに対して繊維質や増量剤などを混ぜて作ります。

窯業の名前にもあるように、窯のなかで高熱処理して作るのが特徴です。同様の生産方法をとっているものは窯業系と呼ばれます。

モルタル外壁のひび割れとは?~起こる原因から補修方法まで~

基本的な材質は、モルタル外壁と近い存在ですが、窯のある工場で生産される点が違いです。モルタル外壁は現場で作りますが、窯業系は工場で決められた環境下で生産され、品質も均一化しています。大量生産にも対応し、価格も抑えやすいのが特徴です。

窯業系サイディングは、大きさにある程度の基準があります。パネルを接ぎ合わせるような形で施工するため、継ぎ目処理が必要となるところもモルタル外壁と大きな違いです。

金属系

サイディングのなかでも、高い強度を持ちながら薄く作られているのが金属系です。表面はアルミなどの金属を使い、裏には断熱材を張ります。

窯業系サイディングに比べると軽量で、性質が安定している建材です。モルタル外壁や窯業系よりもコストも抑えられるようになりました。

金属系は、耐熱・耐震・防水性に優れているものの、衝撃には強いとはいえません。薄く軽量であることがあだとなり、変形しやすい建材だからです。

さびの問題もあります。金属である以上、さびは切り離せない問題で、直接水分に触れないよう守る塗装が欠かせません。窯業系サイディングもモルタル外壁も外壁塗装が必要ですが、金属に対する腐食の影響は品質そのものを失う大きな変化を生み出すからです。

モルタル外壁

モルタル外壁は、今でも多くの住宅で見かけます。これまで多くの建物に使われてきましたが、どのような構造と特徴があるかを見ていきましょう。構造と特徴がわかると、ひび割れに対する補修の必要性や方法も明確に見えてくるからです。

モルタルの構造と特徴

モルタルといったらどのようなイメージがあるでしょうか。硬いもの、セメントやコンクリートと同じと思っている人も多いはずです。実際にはかなり違ったもので、イメージとしては親戚のようなものと思ってください。

モルタルとは、そもそもセメントを使っています。ここでセメントとモルタル、コンクリートを図式にしてみましょう。

  • セメントミルク=セメント+水
  • モルタル=セメント+水+砂+添加剤
  • コンクリート=セメント+水+砂+砂利+添加剤

それぞれが親戚関係である理由です。

セメントとはモルタルやコンクリートの原材料にあたります。セメントがなくては、モルタルやコンクリートはできないということになるでしょう。

セメントは、石灰石などを焼いて作ります。細かな粉状にしたものがセメントで、水を混ぜると化学反応を起こし、水硬性を示すのが特徴です。

エジプトのピラミッドもモルタルが使われているように、太古の時代から使われてきました。ただし、こちらは自然に産出したものを利用しており、現在の人工的なセメントとは違います。

ここで疑問が出てきませんか?なぜセメントではなくモルタルにしなければいけないのかです。

セメントだけでも固まりますし、ある程度の強度も出ます。しかし、セメントを固めるには水が必要です。化学反応を起こすと発熱しますが、この影響でひび割れてしまうのです。必要な水分が失われやすいためですが、体積の変化にも影響します。蒸発すれば、その分だけ体積は小さくなるでしょう。小さくなった分だけ収縮が起こり、ひび割れる可能性が出てくるのです。

モルタルやコンクリートには砂や砂利を使います。骨材と呼びますが、セメントに配合することで、発熱や収縮を抑えているのです。化学反応が起きたときに、骨材が材質も支えてくれますし、安定した強度を出しやすくなります。骨材を配合させることによって、ひび割れを抑える効果もあるのです。

問題は骨材の大きさです。壁に使う場合には、砂利では壁の厚みに対してサイズが大きすぎるため、砂だけを使ったモルタルが適しています。

モルタル外壁とは

セメントとモルタルの特性がわかったところで、モルタル外壁とはなにか?という疑問が出てきますよね。

セメントに対して、砂が2~3の割合で使われているのがモルタル外壁の配合比率です。実際にはここに付着性能を高め化学反応を緩やかにするなど添加剤などが含まれます。

骨材としてみると、モルタルに使われている砂は細骨材のことです。細骨材の基準は、すべての粒が10mm以下でなければいけません。さらに85%は5mm以下であるとされています。ここまでの粒度を持たなければ砂と呼びません。

細骨材に比べ、コンクリートに配合される砂利は粗骨材です。粗骨材は5mm以上の粒が全体の85%以上に含まれていなければいけません。つまり、粒が粗く大きいのです。これでは壁の厚みに対して骨材が大きすぎることから、モルタルが使われています。どうしても粗骨材同士の隙間ができやすいことから、細骨材も必要とするのです。

モルタル外壁は、内側に防水シート、次にラス下地版と呼ばれる板を張り付けます。さらに防水紙をかぶせて、ラスと呼ばれる金属網を取り付け、モルタルを塗り付けていくと順番を考えれば分かりやすいでしょう。

ラスはメッシュ状になっていることから、モルタルが落下しにくく密着します。厚さも確保しやすくなるわけです。ひび割れを防ぐ効果もあります。

施工手順からわかるように、モルタル外壁は現場で塗りつけて施工します。ペースト状になったモルタルだからこそできる工法です。コンクリートでは粗骨材が邪魔して密着しにくいことも、モルタルにしている理由になるでしょう。

モルタル外壁のひび割れとは?~起こる原因から補修方法まで~

モルタル外壁は現場で施工する以上、品質には施工者の技術が大きな影響を与えます。高い技術を持っていれば、品質も高レベルになる代わり、逆の状況も起こりやすいのです。技術がかかわるからこそ、細かな意匠設計も可能で独特な風合いを持たすこともできます。特殊な仕上がりも、技術レベルによって可能です。

仕上げにタイルを取り付ける方法や、ローラーでの仕上げ、左官仕上げなどがあり、骨材を混ぜた塗料であるリシンなどを吹き付ける方法も使われてきました。スタッコと呼ばれるさらに分厚くした仕上げまで使われてきたのです。 どれも独特の風合いを持ちますが、技術レベルによって仕上がりに差が出ます。

モルタル外壁のメリット

モルタル外壁には、さまざまなメリットがあります。そのメリットからも、ひび割れという状況が生まれてくる可能性があり、補修にも影響します。

不燃性

素材の条件として、モルタルに使われている材料のほとんどが不燃性を示します。セメントや骨材は無機材であり、燃えることがありません。添加剤の一部は有機材を使用しますが、割合としてはほんのわずかであり、モルタル外壁としては不燃であるといえるでしょう。防火性能の高さが普及に繋がりましたが、これは今でも健在です。

火事になったとき、住民の命を守るとともに延焼を防ぐことはとても大きな意味があります。燃えないため、有毒なガスを発生することもありません

破損しにくい

強度という面では、モルタルは優れています。これは圧縮強度という面であり、何かぶつかってもガラスのように割れることはありません。ほかのサイディングなどの建材と比較しても、強くて破損しにくいといっていいでしょう。

ただし、引張強度は低く、ラスなどの部材に依存する部分が高くなります。まげにも強くないため、想定していない応力によってひび割れてしまうこともあるのです。これはコンクリートにもつながりますが、ほかの素材と同時に施工することで、強度や耐力を作り上げています。

仕上げ方法も豊富にある

意匠性の高さは、ほかの外壁材と比較しても高いレベルにあります。

上述したように、技術レベルに左右される部分があるモルタル外壁は、意匠性の高いデザインを作れる可能性があるのです。高いレベルの技術者がいれば、想像を超えるような美しいデザインも作れます。

仕上げ方法もタイルをはじめリシンなど豊富であり、美しさなどでも違いが生まれます。特に継ぎ目がないことが意匠性を高めることも少なくありません。

ただし、今再現できていることが、今後もできるとは限らないのはデメリットです。同様の技術の職人がいなければ、同じような仕上げにはならないからです。良くも悪くも、施工技術に左右される面を持っています。

シンニッケンは外壁塗装においても高いレベルの技術と信頼性を持っていますので、要求レベルを実現することも可能です。

https://www.shinnikken.jp/estimate/

モルタル外壁のデメリット

メリットもたくさんあるモルタル外壁ですが、デメリットも存在します。このデメリットにはひび割れも含まれますが、ほかの影響もあわせてみていきましょう。

ひび割れる

セメント系の宿命ともいえるのはひび割れです。

セメントには乾燥収縮という問題があります。モルタル外壁も、出来上がったのちも一定の水分を含んでいる状態です。この水分が気温や湿度によって失われると、その分が収縮するのです。

もちろん、簡単に失われるといったわけではなく、養生も含めて対策も施しています。しかし、蒸発はすべて防げるわけではないため、ひび割れる可能性が出てくるのです。

モルタル外壁のひび割れとは?~起こる原因から補修方法まで~

逆に防水性の低さがひび割れを生じさせるケースもあります。モルタル外壁そのものは、防水性が高くありません。理由としては、水分を一定量吸い込むからです。この湿潤状態から乾燥を繰り返していると、ひび割れを生じやすくなります。

モルタル外壁は高い強度を持ちますが、力の働き方によっては弱い方向があります。特に引っ張られるような力がかかると、簡単にひび割れを生じるのです。対策としてラスなどが対応しますが、それでもすべて防げるわけではありません。

地震や地盤沈下などもひび割れの原因となるのは、モルタル外壁が耐えられる力を超えるからです。モルタルが強いのは圧縮という押しつぶされる力に対してであり、ほかの力にはそこまで強いわけではありません。自然現象という部分でも、ひび割れは避けられないことがあります。

モルタル外壁の場合、継ぎ目はほとんどありません。決められたサイズなどがないからです。地震などの力を逃がすためにわざと目地を作りますが、それでも揺れなどのエネルギーが逃げにくいことには変わりがありません。

チョーキング

モルタル外壁は、防水性があまりありません。水を浸透させる可能性があり、ひび割れしやすい状況を作るため、外壁塗装などの対応が必要となります。結果として、サイディングなど同じように、チョーキング現象が発生する可能性が出てくるのです。

チョーキング現象が起こり始めれば、外壁塗装の寿命が近づいてきています。モルタル外壁を守る盾が失われる可能性があると考えなければいけません。

跡がつきやすい

雨だれなどの跡がつきやすいのも、モルタル外壁の特徴です。実際には仕上げの方法によっても違いますが、リシンなどの吹付は凹凸ができます。凹凸ができると汚れがたまりやすい場所ができるため、どうしても雨だれが目立つのです。

実際に耐久性に直結する問題ではありません。しかし、長期的に見て汚れが付いたままになるのは、外壁塗装面が変質するデメリットを生じます。

浮きや剥がれ

モルタル外壁は、基本的に浮き上がることはありません。

もしも、層ができて剥がれたようになるとすれば、外壁塗装部分やタイルなどが剥がれてきた状態です。こうなると、防水を期待できないため、劣化が進みます。特に水漏れなどの問題を生じやすいといえるでしょう。

また、モルタル部分が剥がれ落ちてきているとすれば、内部でなにか体積膨張を起こすような原因があったと考えられます。ひび割れも同時に発生している可能性が高く、外壁としての機能も失っている状態です。

現場で施工するため、施工不良の可能性もあります。打ち継ぎ面ができあがり、一体化していなかったことが、浮きや剥がれにもつながるからです。

モルタル外壁と補修方法

モルタル外壁に問題が発生した場合、さまざまな補修方法がとられてきました。補修する際に大事なことは、原因を理解して根本的な部分に合わせて対応することです。表面だけ補修しても、一時的にしのぐだけしかできません。

モルタル外壁とひび割れ

モルタル外壁の補修で多いのはひび割れです。ひび割れという現象に対し、どのような状況なのかを明確に判断することが、補修では重要なポイントになるでしょう。

ヘアクラック

髪の毛のような細く浅いひび割れのことをヘアクラックと呼びます。表面だけ構造的にはひび割れていない状態です。

ヘアクラックとは、一般的に幅0.3mm以下のことを指します。

実際には構造的に問題がない程度という解釈ですが、なぜヘアクラックが入ったのかという原因が問題です。軽微な問題であれば、すぐに補修する必要はありません。しかし、力がかかり構造クラックになる前の段階の可能性も出てきます。大きな問題となる前に、対策を打たなければいけないパターンです。

クラックは日々変化する可能性があるため、伸びていないか、ひび割れの幅が大きくなってきていないか、チェックする必要があるでしょう。

構造クラック

構造クラックとは、深さが4mm以上に達したひび割れのことです。

幅はヘアクラックより太く、0.3mm以上に広がります。こうなると、内部の構造まで届いており、水が侵入する可能性が出てくる状態です。

構造体としてみても、ひび割れたことで一体化していません。つまり、バラバラになりかけているパーツで壁を構成していると考えられます。壁の強度的にもかなり下がってきているといっていいでしょう。 状態としてみてもかなり深刻です。水の侵入を止めるとともに、強度を保つために一体化させる補修をしなければいけません。

ここでも大事なことは「原因」です。ひび割れをふさぐだけでは、かかっている力に対抗できないかもしれません。そうなればどんどんとひび割れは広がり、違う方向にも派生する可能性が出てきます。

ひび割れの原因

モルタル外壁のひび割れ補修において、原因の追究は必須条件です。いったい何が起こっているかを踏まえ、補修しなければ恒久的補修につながりません。

経年劣化

どのようなものでも、時間とともに劣化する状況は避けられません。経年劣化と呼ばれますが、モルタル外壁では、守っている外壁塗装が経年劣化し剥がれてくると、本体側の劣化も進みます

モルタル外壁のひび割れとは?~起こる原因から補修方法まで~

もうひとつ、内部からの侵食もあります。

以前は、コンクリートは100年持つといわれてきました。モルタル外壁も非常に長いスパンで強度を保てると思われていたのです。ところが、近年は中性化による被害により、そこまで長く強度を保てないことがわかったのです。

モルタル外壁も、コンクリートと同様にセメントの反応で強度を発生し保っています。コンクリートが強アルカリ性を持っているのも、この化学反応によるところなのです。ところが、酸性雨や人間の呼吸は酸性を示します。この影響により、モルタル外壁も徐々に強度を落としていくのです。

ひび割れを補修するときには、同時に塗装面の見直しなどが必要ともいえるでしょう。

施工不良

施工の質による影響は、深刻な問題を抱えます。モルタル外壁は施工の質が大きな影響を与えるため、ひび割れが見られたときには深刻な問題を抱える可能性が高いといえるでしょう。早急な補修とともに、ほかの部分にも問題がないか確認が必要です。

乾燥収縮

乾燥収縮はモルタル外壁でも避けられない問題です。適切な状態を保つために、外壁塗装なども含め見直しが必要になります。表面だけの変化が多い一方で、浸食が進めば致命的な状態にも発展します。

地震など応力の発生

人間の力は自然にはかないません。地震などの力がかかったとき、モルタル外壁が耐えられなくなる可能性が出てきます。自然の力は大きく、想定を超える可能性は常にあるのです。

モルタル外壁のひび割れとは?~起こる原因から補修方法まで~

これは地震だけではありません。周りの振動、地盤沈下なども同様の力がかかります。

問題は一瞬の力ではありません。小さな力でもどんどんと削られます。やがて耐力が失われたときには、大きなひび割れとして現れてくるのです。

自然に回復しない以上、シンニッケンがおこなっているような点検とメンテナンスを含め対策していく必要があるでしょう。

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放置してはいけない理由

ひび割れは放置してはいけません。そもそも外壁としての価値を失っていることを理解しなければいけないからです。そのまま放置していると、どのような変化が出てくるか見ていきましょう。

更なる劣化

ひび割れとは劣化です。劣化している状況は、これから先にも影響を与えます。ひび割れの場合、さらに大きく伸びていく可能性がありますし、外壁としての強度はどんどん落ちるのです。ひび割れを起こせば一体化していない状態につながります。

カビなど雨漏りとの問題

ひび割れから雨水が侵入することで、雨漏りの可能性が出てきます。

室内の湿度が上昇し、カビが発生する問題も抱えるのです。

モルタル外壁のひび割れとは?~起こる原因から補修方法まで~

見えるところなら対策もできるでしょう。しかし、壁の裏側など狭い空間でもカビが広がる可能性があるのです。見えないところから、健康被害を発生させるかもしれません。

美観の低下

当然のことですが、壁にひびが入っているのを見かければ、大丈夫かな?と思いませんか。美観もどんどんと低下していき、やがて危険な存在と認識するようになります。

ひび割れの補修方法

ひび割れの補修方法は、状態に合わせていくつもの工法が考え出されてきました。費用にも大きな差がありますが、原因に合った方法を取ることが大切です。

塗り込み

表面にセメントを塗り込み、クラックを埋める工法です。専用のセメントやスプレーも出ていますが、速乾性があることが重要になります。

速乾性が高いと、施工に関する可使時間はわずかしかありません。簡単にできるようで、できない方法となるのです。

この方法はヘアクラックに使われますが、そもそも根本的解決には向きません。塗り付けた表面をカバーするだけだからです。ヘアクラックに浸透するように見えますが、わずかな隙間しかないヘアクラックに浸透させるのは不可能といえます。

セメントには必ず水が必要で、化学反応で使われます。塗り込みでも同様ですが、水分が失われると収縮は避けられません。収縮低減や膨張などによって影響を抑えていますが、それでもしっかりとした付着が続くわけではないため、一時的な補修であり強度を回復するものではないといえるでしょう。

UカットVカット工法

ひび割れた部分をベビーサンダーでカットしていく工法です。その断面形状からUカットやVカット工法と呼ばれますが、基本的な考え方は変わりません。

ひび割れ側面の表面部分は脆弱であり、この部分を削り落とし、内部に近い部分まで削り出します。カットした部分に補修材を詰め込み、ひび割れを恒久的に補修しのばさないようにするのが目的です。

補修材はエポキシ樹脂が選ばれます。硬化したときの強度が高く、接着能力も高いからです。セメント系もありますが、付着力では劣るため、一体化は難しいといっていいでしょう。両方の性質を持つ樹脂モルタルを利用することもあります。

ピンニング工法

モルタル外壁の表面が浮き上がっているとき使われる工法です。表面部分から削孔して、ステンレスピンを打ち込みます。そこにエポキシ樹脂を注入することで、表面を剥がれないように一体化します。

ステンレスピンを使うため、さびで膨張することもありません。エポキシ樹脂は接着剤になるため、硬化すると一体化できることから、補修に使われます。

シリンダー工法

ひび割れが長く深い場合、シリンダー工法が有効です。低圧シリンダーを取り付け、エポキシ樹脂を流し込んでいく方法で、ゆっくりと浸透させることでひび割れの内部に注入します。

非常に有効な方法ですが、ひび割れが構造的に深すぎて部材が断裂していると、エポキシ樹脂が流れ出してしまいます。モルタル外壁に厚みがある場合には、とても有効です。

問題は技術的に難しく、簡単にはできないことでしょう。シリンダーの代わりに専用のバルーンを使う方法などもあります。

打替え

モルタル外壁自体が外壁として性能を発揮していない状態になると、いったん撤去し作り変える必要が出てきます。完全に撤去して塗り替える方法や、一部分を打替える方法もあり、状況によって判断しなければいけません。

特に耐力が失われ、構造的に耐久性を失っていると判断できるなら、できるだけ早い段階で作り変える必要が出てきます。

壁も構造的に大事な部分です。耐力を失えば、全体的な耐久性にも影響します。部分的に打ち替える場合には、無収縮モルタルのような収縮しないものを使わなければいけません。

まとめ

モルタル外壁は、主流ではなくなりました。しかし、今でも多くの住宅で使われています。年数が経っているところも多いでしょう。ひび割れしている場合には、そのあとの被害を考えれば、できるだけ早く補修するべきです。

ひび割れしていないのなら、その状態をできるだけ維持できるよう、外壁塗装も含めたメンテナンスが欠かせません。モルタル外壁にとってひび割れは致命的なダメージを与えます。

そうなるまえに、シンニッケンの無料点検で調査してみてはいかがでしょうか。

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