外壁塗装は自分でできる?メンテナンスできる範囲とやり方をプロが解説

最終更新 : 2022.05.29

DIYでいろいろなことを楽しむ人が増えてきた昨今では、外壁塗装は専門業者に依頼するだけではなく、自分で塗ることもできます。もちろん、精度は専門業者にはかないませんし、仕上がりも劣る可能性が大です。それでも、自分で塗る楽しみや喜びもあるでしょう。全面的な外壁塗装ではなく、一部だけ塗り替える方法もあるからです。
「自分で外壁塗装するなら」という観点で、できる範囲ややり方を解説しますので、専門業者に依頼するときの判断などに活用してみてはいかがでしょうか。DIYでできる範囲の確認にも役立つはずです。

外壁塗装は自分でできるか?DIYで気を付けるポイントのイメージ画像

外壁塗装の流れ

自分で外壁塗装するなら、まずは基本的な工程の流れを理解しておきましょう。流れがわかると、必要な道具、掛かる時間、足場の有無などが見えるからです。

足場の用意

外壁塗装の場所によっては、自分で手が届かない範囲が出てきます。安全に作業するためにも、仕上がりを高めるためにも足場の用意が大切です。
足場材で組む専門的な方法もありますが、もっと簡易的に脚立を使い足場を作る方法もあります。脚立を2本立て、その間に足場板を通すと、簡易的な足場の出来上がりです。脚立を立てたときには、必ずがたつきがないか確認するのが重要で、足場材はゴムバンドなどで固定して滑らないようにして安全を確保しましょう。足場板は不安定になると意味がないので、脚立の一番上にはのせてはいけません。馬と呼ばれる足場がセットになっている脚立もあります。

洗浄

外壁塗装する前に、まずは外壁についている汚れを落とします。汚れている状態のまま外壁塗装すると汚れを巻き込むので、うまく仕上がりません。なにかものを接着するときに、異物があるとはがれやすくなるでしょう。考え方は同じです。汚れと同時にホコリもきれいに洗浄することが、仕上がりを決める大事な要素になります。

洗浄の方法もいくつかあります。汚れがひどいなら、高圧洗浄機など水圧を使った方法が使われてきました。高い水圧を使って汚れを落とすため効率が良く、ボイラーを党委際してお湯を噴出させるものもあります。
問題は水を使うため、外壁に水分が残り、すぐに外壁塗装できません。周囲に飛び散る可能性もあるので、隣家に対する養生も必要です。

ホコリが表面についているだけなら、ブロアーなど空気圧で吹き飛ばす方法もあります。この方法はこびりついた汚れは落とせませんが、乾燥も促すのですぐに外壁塗装に取り掛かれます。モーターの音は出ますが、周囲に水が吹き飛ぶ影響もありません。
小さな範囲なら、雑巾などで汚れを落とす方法もあります。この方法も外壁に水分が残ると塗装できません。

下地処理と目荒らし

表面積が増えると、なにかを接着させるのと同様に塗料の付着強度が高まります。つるつるとした表面は面積が小さく、どうしても滑って落ちていきやすいので、傷をつけて表面積を高めるのが目荒らしです。
傷をつけるといっても、大きくつけるのではありません。例えばやすりを使って表面をこするだけでも、でこぼこができて表面積が大きくなります。外壁塗装の付着強度が確実に高まるので行いましょう。

外壁塗装の前に、ひび割れや欠損部分などの処理もします。下地処理と呼ばれますが、外壁塗装でも非常に重要な工程です。ひび割れの補修やコーキングの打ち直し、脆弱な部分の補修も含まれます。
一度外壁塗装すると、ひび割れなども見えなくなり、以後状況がわからない可能性も考えられます。異常のある部分は、塗装前にしっかり直さなければいけません。
ケレン作業も重要です。金属部分には、錆がついている場合があります。この錆も汚れ同様に塗料を剥離させる原因になるのです。ケレン作業で錆を落とすだけではなく、古い脆弱な塗装も削り落とせるので、長期的な耐久性にもつながることから徹底的にやりましょう。

マスキングと養生

どこを塗るかを決めたら、余計なところに塗料が付かないようにマスキングします。しっかり縁を切ると、仕上がりも違いが出てくるものです。
同時に養生も進めます。外壁塗装するときには、地面や関係のないところに塗料が飛ぶ可能性があるので、養生しておくと作業も気にせずでき、進みもよくなるでしょう。隣家などの影響を抑え、塗料を置く場所も養生しておくと、作業も安心です。あとの掃除も素早くできるので、全体的な工程短縮にもつながります。

下塗り

下塗りをする理由はいくつかあります。1度塗料を塗ることで、上塗りを定着しやすくできる重要な役割があるのです。細かな凸凹も調整する役割が仕上がりをきれいにし、塗り残しを作らないためにも下塗りが大切です。

中塗り・上塗り

中塗りには上塗りと同じ材料を使うのが基本です。単純に2回塗装するだけではなく、同職にすることで色むらを抑えられます。1回ではどうしても下地の色が目立つのです。2度塗ることで、塗装の持つ防水効果もしっかりと発揮させます。

注意点は、繰り返して塗装するので、必要以上に膜厚を作らないことです。自分で塗ると厚くしたほうがよさそうに思えますが、実際には違います。厚く塗ると硬化中に発生する熱で割れる危険性も出てくるうえ、乾燥時間にむらが生まれて仕上がりも悪くなるのです。適切な乾燥時間をおいたのちに、上塗りすることも大切です。

自分でできる外壁塗装の工法

自分で外壁塗装する場合にも、いくつかの工法があります。簡単なものから、専用の道具を用意する方法までありますので、範囲も考慮して選んでいきましょう。

はけ塗

もっとも単純な方法がはけ塗です。専用のはけを用意して塗るので、ほかの方法のように費用は掛からない代わりに、仕上がりの精度を上げるのはかなり難しい方法になります。
仕上がりに差が出てくるのは、はけで塗るとどうしてもはけ目がつくからです。これを利用して付着面積を増やす方法もありますが、平滑な仕上がりにするのはかなり難しくなります。
逆に手軽にできることから、小さな面積を塗る場合にははけ塗りがいいでしょう。はけ目も目立ちません。狭い部分やローラーなどが入らない部分もはけ塗りになります。

ローラー工法

費用も掛からず手に入り、広範囲を効率的に塗れるのがローラー工法です。ウレタンなどでできているローラーを使って塗りますが、広範囲でも一定の膜厚を取りやすくきれいに塗れます。専用のケースを使い、ローラーにあまり塗料を染み込ませないようにして塗るのがポイントです。
ローラーの入らないところやきわの部分ははけを使って塗ります。

吹き付け工法

缶で販売されているスプレーや専用の機材を使って塗装する方法です。一回に広範囲を塗装できるうえ、一定の距離で繰り返せば、膜厚も均一に保ちやすいところにメリットがあります。
自分で外壁塗装する場合には、道具をそろえるだけで高額になるのがデメリットです。小さいポイントだけ塗装するなら、缶スプレーでもできますが、広範囲になると材料費が跳ね上がってしまいます。自分で外壁塗装に使うなら、傷がついた部分や塗り残しなどをカバーするために使うことになるでしょう。

自分で外壁塗装するときに用意したい道具

工程を見てみると、自分で塗るときに必要な道具が見えてきます。必要なものは事前に用意しておくのがポイントです。

足場材

高いところを塗るときは、手が届かないなら足場を作らないといけません。不安定な状態で塗装するのは大変危険です。安全を確保するためにも、しっかりと安定した足場は作業に欠かせません。
自分で外壁塗装するなら脚立が代表的ですが、効率を考えても複数台用意して、間に足場板を通す必要があります。これだけでもかなりの費用が掛かるので、事前に計算しておくことが大切です。

洗浄道具

自分で外壁塗装するときには、なかなか大掛かりなものは用意しにくいはずです。モップなどでも洗えますが、掛かる時間を考えれば、高圧洗浄機などをレンタルして用意したほうが安上がりです。ブロワーなどは充電式のものがあると便利ですが、かなり値段が張ります。

下地処理用

下地処理には、状況によってさまざまなものが必要です。ひびが入っていれば補修材がいりますし、コーキングや古い塗装をはがすためのケレン用に皮すきなどがあるといいでしょう。耐水の紙やすりもあると便利です。
欠損部分を補修するなら、補修モルタルや左官こて、樹脂用の道具なども必要になります。

養生用の道具

マスキングテープは、できるだけ幅広いものがいいでしょう。専用を用意するとあとではがすときに残りません。養生用にテープにビニールがついているものもあり、うまく使うことが仕上がりを高めます。
足元や塗料置き場にはブルーシートがいいでしょう。あまり安いものを用意すると、薄くてすぐ破れてしまうため、使う場所を考えて選択するのがポイントです。

塗料

塗料は1液、2液がありますが、使い勝手に優れるのは1液です。用意が簡単で配合の手間もありません。
耐久性を考えるなら2液です。配合比などの問題もあるため、知識がないと使いにくい部分もありますが、耐久性の高い外壁塗装ができます。
慣れていないなら、油性ではなく水性塗料を選ぶのも大切です。道具の管理も溶剤として水を使えるので扱いやすくなります。

塗装道具

どのような工法をとるかで変わりますが、はけは用意しておくときれいに仕上げやすくなります。
塗装用ローラーを使うのが一般的ですが、塗料を入れるケースとともにローラーを絞る網もセットのものがいいでしょう。替えのローラーも複数本用意しておきます

安全のための道具

外壁塗装するときは、体に塗料が付く可能性があります。ゴム手袋などの装備は必須です。慣れていないなら、洗浄やけれん作業の段階から、安全眼鏡やマスクも用意しておくといいでしょう。服装も汚れてもいいものが適しています。靴も同様です。

自分でできる塗装の範囲

業者に依頼すると、どうしても高額になるから自分で塗装したいという人も多いでしょう。しかし、どんな状況でも自分で塗装したほうがいいわけでもありません。

家が複数階に及ぶ場合、1人で塗装していると膨大な時間が掛かります。汚れを落としても、塗装する段階までに汚れることも出てくるものです。足場の問題も重要で、安全に作業できる環境を作れないなら、業者に依頼したほうがいいでしょう。特に複数回になると、安全の確保は、格段に難しくなります。

広範囲なだけではなく、複雑な外壁の形状の場合も、自分で塗れるとは限りません。古い塗装をはがしにくいなど、塗装に高い技術が求められるからです。
下地処理ができないまま塗装してごまかしても、大きなダメージを残したままです。逆に補修するチャンスと考え、専門業者に依頼して建物の寿命を延ばしたほうがいいでしょう。

自分で塗装と起きるトラブル

自分で塗装すると、いろいろなトラブルにつながる可能性があります。どのような問題が起こるのか理解して想定してから、自分で始めることが大切です。

仕上がりの問題

仕上がりは、プロと大きな差が出ます。どんなにきれいに仕上げようとしても、プロの仕上がりとはかなりの差がつくことを理解しておきましょう
色むらが出やすいのも仕上がりの問題です。膜厚のばらつきから、でこぼこができてしまう可能性もあります。

塗膜の白濁

うまく発色せず、白く濁るケースがあります。特に水分を含み、仕上がりで白濁するようなケースが出てくるのです。
塗装には適切な気温や湿度があります。プロなら管理した状況の中で施工しますが、自分で外壁塗装すると時間の制限もあってなかなかうまくいかないことも出てくるものです。耐久性にも大きな影響を与えるので、焦らずできるような時間の管理もしておくこといいでしょう。

剥離

下地処理の問題により、新しく塗った部分が剥がれ落ちることがあります。プロなら徹底した下地処理をしますが、処理があまいと新しい塗装も巻き込んではがれることがあるのです。
下塗りがいい加減なものになると、上塗りがうまく付着できずにはがれやすくなるケースもあります。

膨れあがり

塗料が平滑ではなく、膨れ上がるケースがあります。中に空気が入って膨張することが主な原因ですが、壁が乾燥しておらず水を含んで膨れ上がっているケースもあります。もちろん、塗料は密着していないので、割れたり剥がれたりする状態です。

まとめ

自分で外壁塗装するのはメリットもあります。自分の空いている時間に進められるうえ、出来上がりを楽しみにできるのもメリットでしょう。費用もかなり抑えられるところも大きな理由になるはずです。
しかし、やってみるとかなり手間が掛かりますし、時間も必要です。実際には高い技術がなければ、外壁は塗れません。面積が大きくなると、足場の安全確保などの問題も出てくるため、さらに高い技術と経験が求められるのです。自分で塗ってしまったことで、補償の対象外になる可能性も出てきます。失敗したからといって専門業者に依頼すると、3倍近い費用が発生するケースもあるのです。

自分では難しいと思ったときは、まず専門業者に相談してみるといいでしょう。その結果で、 目立つところだけ自分で塗るという方法も選択できます。建物を守るという点でも選択肢が生まれてきますので、長期的な視野に立って考えていきましょう。

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