外壁塗装の色はカラーシミュレーションが大事!
最終更新 : 2022.11.10
外壁塗装の色を決めることは非常に大切な決断ですが、どんな色になるか想像できるでしょうか。

色は見る人によって、受け取る感覚にも違いが出てきます。実際の仕上がりに近い色合いを知ることが大切ですが、塗ってみてから考えるわけにもいきません。失敗したとしてもお金がかかりますし、簡単に塗り直せないからです。そこで活用されるようになったのがカラーシミュレーションです。
外壁塗装の色の決め方
外壁塗装の色は、家によって違うといっていいほど千差万別です。実際に比べてみると、似たような色でも思いのほか違うことも分かります。好みもありますし、基材となる壁材によっても発色や使われる外壁塗料が違うからです。日の当たり方でも色合いに差が出てくるなど、さまざまな条件が色の見え方に影響を与えています。
外壁塗装を決める際にも、いろいろな方法を使って試しつつ決めていくことになるのです。
・色見本
スタンダードな方法として使われてきたのが色見本です。見本帳とも呼ばれますが、塗料メーカーなどが施工店に配布もしくは貸与しています。標準色を基本としていますが、非常に多くの色を見ることができる方法です。販売しているカラーなので、実際の色に近いのは確かですが、下地の色が違うところに注意しなければいけません。
色見本には必ず色番号も添付されています。この色番号をメーカーに注文すれば、同じ色が届くのも色見本の特徴です。
・塗り板
一般的にはA4サイズの板に塗装したものを指します。施工会社が独自に作る場合もありますが、色見本と同様にメーカー製も存在しているため、かなり精度の高い見本です。
実際に板に塗装しているため、色見本よりも現物に近づきます。ただし、外壁材が同じというわけではないので、近づけることしかできない上、種類も絞り込込まれています。 メリットは、手触りなどの質感が分かるところです。その場で触ることができるだけではなく、日の当たり方による違いも分かりますし、家の外壁にあててみて違いを見ることにも使えます。
・カラーシミュレーション
カラーシミュレーションとは、パソコンを使って疑似的に外壁塗装した状態を作り出す方法です。専用のソフトを使って、実際の外観写真を取り込んでイメージを作り出すため、本物に近い感じを実現できます。
カラーシミュレーションのいいところは、その場で色を変えることができる点です。複数の色に分けるといったことも可能で、比較してみるだけでイメージを膨らませられます。
しかし、カラーシミュレーションも万能というわけではありません。例えば光の加減などは再現しきれないところがあります。逆に中立の状態を作り出せるので、どういう条件で参考にするかも考えて利用するのがポイントです。
色の面積の効果
外壁塗装の色を決める際には、色の面積効果を意識しなければいけません。人間の目は思っている以上に正確なものではなく、さまざまな条件の影響を受けます。そのひとつが色の面積効果です。
明るい色を小さな見本に塗ったとします。このときに四隅を見ると暗く見えることがあります。逆に暗い色を大きな見本にすると、四隅はくすんで見えるのです。
面積効果は、実は人間の脳が引き起こす錯覚にあります。人間の目には視細胞と呼ばれる細胞が網膜の上に並んでいますが、均等に並んでいるわけではありません。これが見え方に狂いを生じさせるのです。目の構造が影響して、明るさや周りの影響を受けて面積効果を引き出してしまうのです。
カラーシミュレーションにつながるプランニングのポイント
外壁塗装を考える場合、色を決めるためのプランニングが重要になります。どんなことに注意したらいいか整理してみましょう。
・イメージの整理
業者の職人に塗ってもらいますが、イメージがまとまっていないとどのような色がいいのかうまく伝えられません。
試しに、自分の中にあるイメージを誰かに伝えてみてください。その答えが自分のイメージと同じなら、整理できて伝わる状態です。もしも違ったものならば、もう一度整理してみましょう。
・周辺状況の確認と把握
イメージが固まったら、周辺に建てられている家の外壁を見てみます。自分たちの希望はあっても、周りとマッチしない色合いは、異質なものとして映る可能性が高まるからです。
大体の色合いを把握できたら、なじむ色なのか判断してみます。例えば白の外壁塗装が多い地域に黒の外壁塗装をしたらどうでしょうか。確実に目立つ色合いになってしまいます。逆に白のようにシンプルでベーシックなカラーなら、たいがいのところで使われているので異質には映りません。
カラーシミュレーションを使うと、どうしてもいろいろな色を使ってみたいという欲望にかられます。色見本などでも同じです。実際にやってみたら浮いてしまう色合いだったとしても取り返しはつかないのです。 せっかくの外壁塗装があだとなり、住みにくい思いをするケースも出てきます。必ず周囲と比べてみて問題がないか確認しておきましょう。
・景観ガイドライン
景観ガイドラインとは、都市の景観形成を目的としたガイドラインで、建物の形態や色を規制・誘導するために作られています。 つまり、都市景観形成のために、見た目をある程度揃えていこうという指針です。屋根の形状や高さといったところも規制の対象で、外壁塗装も景観ガイドラインを守らなければいけません。
景観ガイドラインは自治体ごとに定められているため、外壁塗装を考えているなら事前に確認しておく必要があるでしょう。
・ベースカラーとアソートカラー
外壁塗装の色は家の印象を決めることになります。最終的には住んでいる人の印象にもつながりますが、まずはベースカラーを設定します。ベースカラーとは、建物全体のうち70%の面積を占める色です。最も広い面積を占める色を決めることで、家の基本的な雰囲気を作り出します。
アソートカラーはベースカラーに対する色です。ベースカラーが精神的な色であることに対し、それ以外の部分がアソートカラーと考えると分かりやすいでしょう。色のバランスがとても重要になるのが住宅の外壁です。アソートカラーはベースカラーを邪魔するような色であってはなりません。ベースカラーを強調する色や補助する色であることが求められます。
・アクセントカラー
アクセントカラーとは差し色と呼ばれる色のことです。付帯部分だけ違う色を使うといった方法はアクセントカラーの上手い使い方と言えるでしょう。全体の約5%未満にすることにより、個性を出してもベースカラーを潰すことはなくなります。
まとめ
カラーシュミレーションを使って外壁塗装の色を決めるのはとても重要です。後から後悔しないためにも、必ず試しておくべき方法になります。
住宅の外壁塗装の大事なポイントは、あまり複雑な色にしないことです。カラーシュミレーションが使えるとどうしてもいろいろな色を試してみたくなります。しかし最終的な住宅の色はシンプルな色を選ぶのがベストです。
住んでいる人のイメージを決めてしまうのも外壁塗装の特徴です。複雑な色で迷い始めたら、まずは白を試してください。白は住宅の外壁塗装の基本であり、最終的に行き着く色になることが多いからです。
